坂上弘「交通地獄そして卒業」
■ 奇跡のラップソング、まさかの再発!
1995 年という日本のヒップホップ創世記が一段落した頃に密かに自主制作でインディーズデビューしたアーティストがいました。その人を 坂上弘 (さかうえ ひろし) という。すでに CD 全盛期にあえてカセットテープでのみ発売された唯一の作品が 「交通地獄 / 愛しのアンヂェラ」 です。
"交通地獄" は LL Cool J を聴いてラップに可能性を感じた 坂上弘 が実体験をもとに作り上げた名曲。交通事故に遭って 3000 万円の保険金や慰謝料を手に入れたもののキャバクラにハマってすべてを使い果たしたというドキュメントを起承転結を用いてうまくまとめている。擬音までも豪快にリリックに取り入れた斬新な手法がなんともいえない歌唱力とあいまって独特の世界を提示してる点がすばらしいです。
とにもかくにもまずは聴いてもらわないことにははじまらない。発売元の P-Vine Records で一部試聴できますのでわたしのレビューを読む前に 坂上弘 の世界に足を踏み入れるべきですよ。
http://www.bls-act.co.jp/music/detail.php?wpid=2931<id=21
坂上弘「交通地獄そして卒業」
- 交通地獄
- 卒業
- やまと寿歌
- 愛しのアンヂェラ
- 借金地獄
- 交通地獄 (Remixed by 刃頭 The 最狂音術)
- 卒業 (ライヴ・ヴァージョン)
大正 10 年生まれの 坂上弘 は現在 84 歳。最高齢のラッパーと呼んでも差し支えないでしょう。「交通地獄 / 愛しのアンヂェラ」 を発売したときにすでに 74 歳だったんですが、「あまりにも高齢すぎるとナメられる」という理由で 2 歳サバを読んで公称 72 歳としていたのは有名な話。今回の CD のブックレットのプロフィールでは大正 10 年生まれとなっているが、ネットマガジンの すまいる 1998 年 1 月号で紹介 されたときには大正 12 年生まれとなっているのを確認できます。
■ 尾崎の名曲「卒業」のカヴァーも収録
今回の 「交通地獄そして卒業」 のもうひとつの目玉がこの 尾崎豊 の永遠のアンセム "卒業" のカヴァー。ライブではむかしからレパートリーに加わっていましたが、今回ついにスタジオレコーディング作品として発表。CD の帯によれば 伊集院光 のラジオ番組で大々的に取り上げられたりもしたようです。原曲に忠実で特別なアレンジもなくチープなバックトラックだけど、ますます磨きが掛かった歌声がこの曲に新たな説得力を与えている。純粋な 尾崎 ファンにはお勧めできないが、一聴の価値はあり。1999 年のライブテイクも収録されていて、そちらのほうが真に迫る感じ。84 歳のアーティストはなにを卒業するのだろうか?
■ 他の収録曲にも注目!
"交通地獄" のカップリングとして収録されていた "愛しのアンヂェラ" や "交通地獄" の後日談を歌った "借金地獄" も収録されている。ほかにも原曲は聴いたことはないけど途中でスウィングする 野坂昭如と桜井順 のカヴァー "やまと寿歌" も非常にカッコイイ。長見順 のバッキングコーラスも秀逸。"交通地獄" のリミックスバージョンは大音量でフロアで掛けてアシッドな空間を作るのにいいかも。
■ 動く坂上弘 ライブ編
現在 84 歳という 坂上弘 ですが現役アーティストとしてライブ活動もしていまず。歴史の証人になるにはいましかありませんよ!
2005 年 12 月 03 日 (土) 浅草 木馬亭
2005 年 12 月 12 日 (月) 初台 ザ・ドアーズ
2005 年 12 月 16 日 (金) 岩手県北上市 さくらホール・小ホール
ほかにも 11 月 20 日に新装版が発売された 根本敬 の 「亀ノ頭のスープ」 をタワーレコード新宿店で購入すると先着で 12 月 10 日のトークイベントの招待券がもらえるのですが、そのイベントにも 坂上弘 の出演が予定されているようです。ちなみにタワレコ新宿店で 「亀ノ頭のスープ」 を購入したら 根本敬 のサイン入り手作りフォトコラージュ作品ももらえました。感激。根本敬 は 「交通地獄そして卒業」 のブックレットでも 2 ページのマンガを提供しています。
■ 動く坂上弘 ビデオ編
わたしが 坂上弘 を知ったのは 根本敬 の書籍だったんですが、その 根本敬 の初監督作品 「さむくないかい」 (1996) に 佐川一政 をはじめとした 亀一郎 や 平やん こと 甲斐平吉 といった強烈なキャラクター達と共に出演して "交通地獄" を披露しています。このビデオ、好事家にはたまらない逸品なんですが一般のひとには絶対にお勧めできません。
*
最近は amazon.co.jp でばかり CD を買っているので数ヶ月ぶりに立ち寄ったタワレコ新宿店で発売されたばかりのこの CD を手にしたときにはなんか低次元の偶然を感じずにはいられませんでしたね。とくにここ数年 「交通地獄 / 愛しのアンヂェラ」 のカセットをなくしたことを悔やんでいただけに。ひょっとするとわたしはこうしたいいオヤジたちが無意識に垂れ流して生み出される渦の中の住人なのかもしれません。それがトリコ仕掛けの運命だというのなら、これを受け止めて生きていこうと思います・・・・・・。
関連エントリー
2004.12.20 - 根本敬 「因果鉄道の旅」





Comments
坂上弘、老そるべし! ですね。
かなり気に入りました。出来ればCD全編聴きたい! でも、正直2000円がもったいない気もする(笑) うわ〜、どうしよう。
・・・しかし、なぜ、コメントが全くないのでせう? これだけアツいのに。
Posted by: 通りすがり | 2005.12.07 at 01:58
> 通りすがり さん
この CD は本気でお勧めできます。プレス枚数もそんなに多くないと思いますので早めのご購入を。
Posted by: まえだ@いかんとも | 2005.12.11 at 23:25
12月23日に、坂上さんが出演するというので高円寺の小さなライブハウスに行ってきました。他の出演者は前衛音楽みたいなのが多くて退きましたが、坂上さんは素晴らしかった! 交通地獄、やまと寿歌、サバの女王、卒業の4曲を堪能いたしました。握手もしてもらって感激。
ところで、同じくその時のライヴに出演したガールズバンドの「ぐしゃ人間」てのがちょっと気になりました。オフィシャルサイトの各メンバーの日記がイッてますw
http://www.gusya.net/
Posted by: サラリーマン・47歳 | 2005.12.26 at 22:26
> サラリーマン・47歳 さん
わたしはタワーレコード新宿店のインストアライブで「交通地獄」と「卒業」を聴いてきましたんですが、握手とかサインともらえなかったのがちょっと残念でした。
ぐしゃ人間、名前だけ聞いたことがあります。日記、おもしろいですね。大学時代の後輩バンドで組織暴力幼稚園っていうのがいるんですが、何回か対バンしているようです。
http://www.geocities.co.jp/NeverLand/9834/
Posted by: まえだ@いかんとも | 2006.01.07 at 15:05
今日、ニュースサイトで坂上さんのことを初めて知りました。
豪快な人なんですね。
ますます興味がでてきました!!!!!
Posted by: 1号 | 2006.01.22 at 23:35
> 1号 さん
調べようと思ってもまだあまりネット上に情報が無いのが残念ですよね。
Posted by: まえだ@いかんとも | 2006.01.23 at 07:16
はじめまして。ひょんなことから、坂上さんのことを知り、ネット上で視聴したところ凄くインパクトあったので、ついにCDを購入しました。
全曲聴いたのですけど、凄くいいですね。感想は一言では言い表せませんけど。
まだネット上その他でも情報は少ないみたいですね。googleで検索したところ、いかんともさんのブログが上位で出てきたので読ませていただいた次第です。
でも、曲のインパクトが凄いから、余計な説明は要らないのかもしれませんけど・・(?)。
トラックバックもさせていただきました。
では、失礼いたします。
Posted by: とぅむぅー | 2006.04.29 at 22:08
> とぅむぅー さん
やはりまだまだネットに情報が少ないみたいですね。本人によるブログとかあればおもしろいのにな、なんてことを思いました。
Posted by: まえだいかんとも | 2006.05.02 at 03:13